阿波晩茶が作られている徳島県上勝町は、葉っぱビジネス、ゼロウェイスト宣言などで有名な自然豊かな山間の村です。
標高1,000m級の山々に抱かれた勝浦川は、あめごや鮎などの淡水魚も多く生息しています。
この自然豊かな山間の村、上勝町で作られているのが上勝阿波晩茶です。
年に一度、梅雨明けの7月中旬にこの希少な上勝阿波晩茶づくりが始まります。
上勝阿波晩茶は、長年様々な研究が進められており、研究結果として腸内環境を整え便秘解消等の効果や、花粉症等のアレルギー症状の緩和が期待できる事がわかり、「健康茶」として今も研究が進んでいます。
カフェイン含有量が緑茶の3分の1程度と少ないので、乳幼児から高齢者まで幅広くご愛飲頂けます。
阿波晩茶の製造方法
阿波晩茶の特徴はさわやかな酸味があり、
夏の日差しを浴びた7月中旬以降、完全に成長した茶葉を摘み取り、釜ゆでしたあと茶摺(す)り機ですります。摺(す)られた茶葉は、桶の中で2,3週間漬け込まれます。
一般的な緑茶などの製法とは大きく異なり、非常に特徴ある製法だと言えます。
摘む
お茶摘み
上勝晩茶のお茶作りは夏。
7月上旬から町内ではあちらこちらで茶摘みをしているのを見かけられる。
茶畑ではなく山や家の周辺、田んぼの畦などに自生しているお茶から葉を採ります。
お茶の生産は年に1回。夏の盛りに大きく成長した茶葉を枝からしごき取るように採取し、摘み終わった茶の木は「坊主」なるよう全て摘み取ります。
茹でる
茹でる
摘み取った茶葉を釜茹でし、葉の持つ酸化作用を止めます。
「茶葉を茹でる」工程はとても珍しく、ほかのお茶の製造の「蒸す」作業と同じ目的で行われるが他ではなかなか見ることはできない。
なぜ上勝晩茶は茹でるのか、その工程に行き着いた経緯は定かではないが、茹でることで茶葉に付着している雑菌などの発酵に不要な細菌類を殺菌していると考えられています。
また、ゆで汁は発酵中、桶に継ぎ足していくため、とっておきます。
擦る
揉念
揉捻機でもむように茶葉を擦り、繊維をすりつぶしていきます。
茹でた茶葉を専用の機械に入れ、上から圧をかけて茶葉を摺ります。
乳酸菌の栄養分となるポリフェノールを出し、発酵を促進させる効果があります。
現在は他の茶産地にもあるような揉念機を使用している生産者が多いが、
昔は「茶摺り船」と呼ばれる船型をした手押し式の道具で揉念していました。
現在では数件のみがこの船型の道具を未だ使用しておりますが、年々数が減ってきています。
漬ける
発酵
上勝晩茶の最大の特徴とも言える「発酵」
摺った茶葉を桶に敷き詰め、上から芭蕉の葉を乗せて蓋をし、重しをのせ2週間から3週間程発酵させます。
「漬物茶」と言われる上勝晩茶。各生産者がそれぞれ独自の加工場を持ち、桶などの道具類や加工場周辺に生息している菌によって発酵させるため上勝の晩茶は生産者によって味が異なります。
また、生産者が代々「家のやり方」により、茶摘み時期やこの発酵の期間もそれぞれ。生産者の人となりがみえてくるかのように一つ一つのお茶には「個性」があります。
その個性も上勝晩茶を楽しむひとつの要素です。
干す
天日干し
天気の良い日を見て、桶から出し、2~3日天日干しを行います。
天日干し作業初日は「桶だし」と呼ばれ、桶から茶葉を出し、ムシロに広げる作業は日の出前に行うためこの時は暗いうちから作業を始めます。
「どの作業がいちばん大変?」と聞くみな声を揃えてこの「天日干し」といいます。
徳島県の山間部に位置する上勝町はこの夏の時期天気が移ろいやすく、夕立が降らない日はないのではと思うほど、朝が晴天でも油断なりません。
夏の炎天下の中、ムシロの上に茶葉を広げ半時間ごとに茶葉の上下を入れ替えたり、固まった茶葉をほぐしたりと作業を続けます。
雨に濡らしては茶をダメにしてしまうため、お茶を干しているときはかたときも離れられず、雨が降りそうになったら、屋根のあるところお茶を避難させたりと本当に大変作業です
完成
出来上がり
上勝の阿波晩茶の生産は主に自家用。
農家さんが各家庭で「うちのやりかた」でつくるから細部は本当にバラバラ。
茶摘みの時期が7月初旬に摘む人もおれば8月のお盆を過ぎてから摘むひともおる。
発酵期間もおよそ2週間から4週間の間でばらつきがある。
生産者、そして天気・気温、その一つ一つの違いがお茶の発酵に作用しOnly Oneのお茶ができる。