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未来に繋ぐ阿波晩茶~episode21~

皆さんこんにちは!

Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!

 

さて今日は

未来に繋ぐ阿波晩茶〜episode21〜

 

阿波晩茶は、徳島の山里で受け継がれてきた後発酵茶である。一般に茶は春の新芽を摘み、香りと青さを楽しむものだが、阿波晩茶は真夏から初秋にかけての大きく育った葉を摘み、蒸し、もみ、桶に仕込み、乳酸発酵させ、天日で干し上げる。どの工程も、山の湿り気、日差し、沢の水、そして人の手が揃わなければ成り立たない。ここでは、とある阿波晩茶農家の一年を辿りながら、作業の細部に宿る知恵と、地域に根づく時間の流れを書き留めたい。

冬から春へ──畑の骨格を整える

阿波晩茶の圃場は、平地よりも斜面や棚田跡に多い。冬は樹勢を整える剪定の季節だ。翌夏に大ぶりで厚い葉を得るためには、枝の更新と日当たり、風通しの確保が重要になる。枝を抜く位置、切り口の角度、残す芽の向き。雪や霜の具合を見ながら、手鋸と剪定鋏で淡々と進める。足元の落葉は堆肥として活かされ、春以降の微生物相をじんわり育てる。

春になると下草が伸び、根の浅い雑草を鍬と刈払機で抑える。化学肥料に頼らず、鶏糞や菜種粕、落葉堆肥を少量ずつ分けて施す家も多い。山の畑は養分が流失しやすい。急激な生育を狙うより、年単位で土の団粒構造を守る方が、晩茶向きの葉をもたらす。葉脈の張った分厚い葉は、発酵の熱と圧に耐え、湯に立ったとき、澄んでいながら腰のある味になる。

初夏──雨と光の見極め

梅雨入り前後は、土壌水分の管理が肝要だ。表土が泥に変わるような長雨ののちに強い日差しが戻ると、葉は一気に硬化する。晩茶は硬さも受け止めるが、繊維だけが勝つと乾燥で割れやすい。畝間の排水溝を通し、斜面水の逃げ道を再確認する。畑の端に自生する草木は、防風と保水の指標。風の通り道と鳥の動きを見て、夏の摘採計画を決める。

盛夏──摘採と蒸しの一日仕事

阿波晩茶の摘採は、一般的な一芯二葉ではない。大きく展開した厚葉を、手刈りや刈り払い式の摘採機で収穫する。朝露が乾ききらない時間に入り、正午の暑さを避けて運び出す。刈り取った葉は畑で陰を作っておき、傷みを防ぐ。ここから先は「一気呵成」が鉄則だ。

蒸しは心臓部である。大釜に湧かせた湯の蒸気でしっかりと葉を熱し、青臭みを和らげ、発酵のスターターを目覚めさせる。蒸し過ぎは香りが抜け、甘みも痩せる。蒸し不足は雑菌に隙を与える。葉の厚み、当日の気温、湯気の抜け、葉束の芯の温度。経験が秒を測る。蒸し上がった葉は広げて粗熱をとり、次の工程に渡す。

踏みともみ──乳酸発酵の入口をつくる

蒸し葉を布に包み、舟形の木箱や床に移し、足でもみ込む家もあれば、杵や押し木で圧をかける家もある。目的は葉の組織をほどよく壊し、細胞液を引き出して表面にまとわせること。これが桶の中で乳酸菌の餌になる。強く潰せば早く酸っぱくなるが、香りの幅が狭くなる。やさしすぎれば、発酵の立ち上がりが遅れる。農家ごとの「手の強さ」は、その家の味と直結している。

仕込み──桶と水と空気の管理

木製の大桶や樹脂容器に、もみ上げた葉を層にして収め、押し蓋と重石で圧をかける。桶は清潔であることが第一だが、完全に無菌ではない。代々使い込まれた桶肌には、その家に棲みつく菌叢が宿る。沢水や井戸水の質も味を左右する。塩は使わない。密閉し過ぎず、しかし空気を入れ過ぎない。初期は嫌気性の乳酸菌、その後は微好気の菌が香りを整える。数日から数週間のあいだ、桶の上から湧き出る泡、匂い、酸度の立ち方を五感で追う。

酸の角が取れ、青さが丸くなったら上げ頃だ。ここでの焦りは禁物だが、長ければ良いわけでもない。山の温度、夜風、湿り気。この地域の夏を記憶した味にまで連れていく。

揚げと天日干し──山の光を編み込む

桶から上げた葉は、束をほぐし、むらなく広げて天日に干す。藺草や竹の簀の子の上で、裏表を返しながら、乾き具合を指で確かめる。表面がぱりっとしても芯にしっとりが残る段階で陰干しに移す家もある。乾燥はただの水分抜きではない。香りをまとめ、酸味を丸くし、焙香の入口を作る時間だ。山風の通る棚は宝物。晴天が続けば一気に、雲が湧けば無理をしない。干し上がりの色は深い褐色から琥珀がかった茶まで幅があるが、粉のような白い析出は過度な乾燥や破砕のサインになる。

選別と火入れ、保存

乾いた葉を選り分け、茎や大きな破片を整える。仕上げに軽い火入れをする家もあれば、天日のぬくもりを残してそのまま袋詰めする家もある。火入れは風味の輪郭をくっきりさせ、保存性も高めるが、やりすぎは乳酸のやわらかさを削ぐ。保存は湿気と光を避け、木の箱や厚手の袋で静かに。秋風が深まるころ、初物の湯を沸かす。

味わいと取り合わせ

阿波晩茶は、淹れたての湯でふわりと立つ香りが穏やかで、酸は鋭くない。塩を使わない漬物のように、澄んだ旨みが喉を通る。熱湯でしっかりと出しても渋みは強く出にくい。茶葉を少し多めにして、湯温は沸騰直後、抽出は長めでも良い。冷やしても濁りにくく、食中に向く。山菜の和え物、淡い塩味の煮物、油の軽い揚げ物と相性が良い。柑橘の皮を小さく削って香りを添える家もある。

人と地域の手

真夏の仕込みは家族や近隣の手助けなくして進まない。地域によっては「結い」の習わしが残り、蒸し台の湯を焚く人、桶を洗う人、踏みを繰り返す人、干し場を見守る人が、入れ替わり立ち替わり動く。作業のあとの囲み食は、塩と米、山の野菜が主役だ。茶の味は土と水の味であり、人の時間の味でもある。市場に出る量は限られるが、手元で飲む分、親類や友人に送る分、地域の行事でふるまう分が、実は最も大切にされる。

天候と変化に向き合う

酷暑、長雨、突風。近年の天候は読みづらい。摘採期が早まれば葉の厚みが追いつかず、遅れれば雨に叩かれる。仕込みの温度が高すぎると酸が暴れ、低すぎると立ち上がらない。干し上げは湿度の上下に左右される。そこで、遮光や通風の工夫、小分け仕込みの導入、乾燥棚の改良など、手段を増やし、選択肢を持つことが農家の「保険」になる。伝統は固定ではない。原理を守り、手段は柔らかく。山が教えてくれるのは、そのバランスだ。

販路と伝え方

直売、通販、観光での体験受け入れ、地域の飲食店との組み合わせ。どれも少量多品目の営みと相性が良い。値段は手間賃の可視化でもあるから、工程を言葉にし、写真や音で残す。蒸気の音、踏みのリズム、桶の泡、干し葉の擦れる音。伝わる言葉は味を守る。流行の健康効果を声高に唱えるより、暮らしの中でどう飲まれ、どう役立ってきたかを語る方が、阿波晩茶の輪郭には似合う。

終わりに

阿波晩茶は、夏の熱と水の涼しさ、山の陰影と人の手の温もりが、一つの湯気に融け合う飲み物だ。農家の一年は、茶の一年と重なり、手を動かす理由を確かめ続ける時間でもある。湯を注ぎ、香りを吸い、喉に落とす。その一連の動作のなかに、畑、桶、空、そして人の声が立ち上がる。飲む人の暮らしの時間に寄り添う一杯を、今年もまた仕上げたい。

 

 

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未来に繋ぐ阿波晩茶~episode20~

皆さんこんにちは!

Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!

 

さて今日は

未来に繋ぐ阿波晩茶〜episode20〜

 

 

湯呑み一杯の向こう側には、1年を通して続く畑の管理、短い収穫期の勝負、そして加工・販売という長い工程があります。近年、お茶農家の現場では、気候・人手・価格・規制など複数の波が同時に押し寄せ、従来のやり方だけでは乗り切れない局面が増えました。本稿では、日本の茶産地を想定しつつ、畑・工場・市場の3視点から課題を整理し、すぐに着手できる打ち手までまとめます。


1|畑で起きていること(生産)

① 気候リスクの増大

  • 晩霜・春先の寒戻り:一番茶の芽吹きが早まるほど霜害のリスクが上がる。防霜ファンや散水、黒マルチなどへの投資負担が増加。

  • 猛暑・干ばつ・豪雨:夏場の高温乾燥は樹勢を落とし、旨味成分の蓄積に影響。豪雨は土壌流亡や根傷み、排水不良を誘発。

  • 収穫タイミングの難化:フェノロジー(生育リズム)の変動で「いつ摘むか」の決断が難しく、品質×歩留まりの最適点が読みにくい。

② 病害虫の圧力と防除の難しさ

  • チャノミドリヒメヨコバイ、小さなハマキ類、カンザワハダニ…。高温化で世代回転が早まると防除回数が増え、耐性化リスクやコストが上昇。

  • 有機・特別栽培では選べる資材が限られ、草生管理や天敵温存など**総合的病害虫管理(IPM)**の設計が不可欠に。

③ 労働力の逼迫

  • 収穫は極端な繁忙の“瞬発型”。世帯内労働だけでは回せず、機械化・共同作業・外部人材の確保が必須。

  • 高齢化で重労働の継続が難しい。摘採機・運搬・選別の動線を見直し、腰と肩への負担を“設計で”減らす必要。

④ 土壌・品種・園地の課題

  • 化学肥料高騰や施肥制限で、有機質の回帰・土づくりに再び注目。

  • 品種の多様化は品質の幅を広げる一方、最適な防除・摘採時期・被覆条件が畝ごとに違う難しさも。


2|工場で起きていること(製造・設備)

① エネルギーと資材コスト

  • 蒸機・乾燥機を回す燃料・電力の高止まり。被覆(覆下)資材や網、防霜・防鳥のネットもコスト上昇。

  • 省エネのための更新投資(インバータ化、断熱、熱回収)が必要でも、回収年数が長く資金繰りの壁に当たりやすい。

② 小ロット・多規格対応の負担

  • シングルオリジン、単品種、発酵茶や紅茶化など多品種少量のニーズ増。

  • ロット分け・トレース・在庫管理の手間が増し、**品質の“再現性”**を保つ運用が難しい。

③ 衛生・安全・トレース

  • HACCP 的な衛生管理、異物混入防止、残留農薬の**MRL(基準値)**対応。

  • 海外輸出や大手取引では記録と証跡が求められ、紙台帳からの脱却が課題。


3|市場で起きていること(販売・事業)

① 価格のミスマッチ

  • 市場平均価格が伸び悩む一方、上物と下物の二極化が進行。

  • 仕入先や流通の都合で、“良いもの”でも適正に評価されないケースが残る。

② 需要構造の変化

  • 急須離れの一方、抹茶・ボトルティー・ティーカクテル・健康文脈など新しい入口は拡大。

  • ただし新カテゴリーは規格・衛生・表示の壁が高く、参入コストがネック。

③ ブランディングと越境

  • 農協・市場任せから、**直販・EC・観光(アグリツーリズム)**へ。

  • 物語・写真・英語対応・配送・カスタマーサポートまで含めると、“農家の仕事”が増え続ける


4|“明日から動ける”現場の打ち手

畑:気候・病害虫へのレジリエンス

  • 防霜の多層化:ファン+黒マルチ+簡易風除け、可搬温湿度ロガーで危険閾値を見える化

  • IPM:フェロモントラップ、被覆下の湿度管理、茶園縁の草・樹種の選定で天敵温存。

  • 土づくり:剪枝くずのチップ化・堆肥化、被覆作物(クローバー・ヘアリーベッチ)で有機物と保水を確保。

労務:繁忙の“瞬発”を仕組みに

  • 共同雇用プール(近隣数戸でのシェア)、摘採機の共同利用カレンダー

  • 収穫〜運搬の動線見直し(斜面にはモノレール・自走運搬車、集積点の固定化)。

  • 学生・地域人材の短期アルバイトには、30分動画の作業eラーニング+現場チェックリストを準備。

工場:省エネ・多品種対応

  • 熱回収・断熱・インバータで“燃やした熱を逃がさない”。

  • ロットID管理(QR)で生葉→荒茶→仕上げまで紐付け。単品種・単畝でも混乱しない台帳に。

  • 小規模発酵ラインの試験スペースを確保し、紅茶・烏龍・発酵茶の**“二の矢”**を育てる。

市場:価値の翻訳と販路

  • シングルオリジンの設計:区画、品種、被覆日数、蒸しの強弱など**“違いの言語化”**。

  • ECの基本整備:淹れ方動画、写真(茶畑・製造・リーフ・水色・茶殻)、2分で強みが伝わる商品ページ

  • 観光・体験:新茶期の“摘採見学+製茶見学+試飲”、秋は“焙煎体験”。一次情報の提供はブランド力に直結。

  • 法人向け:ボトルティー用の抽出適性、抹茶・粉末緑茶の粒度や溶解性などB2B規格表を用意。


5|資金と制度:攻めの投資を可能にする道筋

  • 共同機械リース・協同購入で初期費用を分散。

  • 再エネ活用(屋根ソーラー+蓄電)で昼間電力を平準化、乾燥ピーク時の需要抑制に寄与。

  • 省エネ・輸出・6次化に関連する補助・融資は、“成果(省エネ率・新売上)の数値計画”まで落として申請。


6|輸出・規格対応の勘所

  • MRL・ポジティブリストを市場別に整理し、使用資材と収穫前日数(PHI)を管理表で一元化。

  • 残留検査・水質検査の証跡を英訳テンプレートで常備。

  • バルク・ティーバッグ・粉末など形態別の規格書を用意し、問い合わせへの初動を早める。


7|継承と連携:人が続く仕組みへ

  • 研修受け入れ(短期)→シーズン雇用(中期)→新規就農支援(長期)の**“階段”**を地域で用意。

  • 地域工場・共同乾燥など設備のシェアで小規模生産者の参入障壁を下げる。

  • 若い世代がやりたい直販・体験・デジタルを、上の世代の栽培・製茶の技と重ねる“縦の分業”。


まとめ:課題は重なる。だからこそ“設計”で解く

気候、人手、コスト、市場、規制。どれか一つではなく同時多発で起きています。鍵は、

  1. データで可視化(気象・生育・防除・コスト・販売)

  2. 標準化(作業・記録・品質)

  3. 分担と連携(人・設備・販路)
    の三点を“畑→工場→市場”の一本線でつなぐこと。

お茶は、土地と人の記憶の産物です。違いをつくる畑と、違いを伝える言葉、そして続けられる仕組みが揃ったとき、一本の新茶はようやく未来に届きます。
次の季節に向けて、できることを一つずつ“設計”していきましょう。

 

 

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未来に繋ぐ阿波晩茶~episode19~

皆さんこんにちは!

Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!

 

さて今日は

未来に繋ぐ阿波晩茶〜episode19〜

 

徳島県の山あいで受け継がれてきた乳酸発酵茶「阿波晩茶」。2021年に国の重要無形民俗文化財に指定され、全国から関心が高まっています。どんなサイクルで育ち、いつ摘むのが“旬”なのか。現地資料と作り手の声をもとに、育成期間茶摘み時期を中心にまとめました。


阿波晩茶の一年:育てて、盛夏に摘む

  • 春(4〜6月):新芽の季節
    普通の煎茶なら春の若芽を摘みますが、阿波晩茶は摘まずに育て続けるのが定石。夏に向けて葉を厚く、大きく育てます。厚みのある葉は後の乳酸発酵に向くためです。

  • 初夏〜盛夏(6月下旬〜8月上旬):主な茶摘み期
    収穫の中心は7月。地域や標高で前後しますが、だいたい6月下旬から8月上旬の暑い時期に、人の手で枝をしごくようにして**成葉(大きく育った葉)**を摘み取ります。

「晩茶(ばんちゃ)」の名は、**“遅い時期に摘む”**ことに由来。夏の葉を使う独自の製法が、名称にも刻まれています。


なぜ“夏摘み”なの?——阿波晩茶が育つ理由

阿波晩茶は、摘採 → 茹でる → 擦る(茶摺り) → 木桶に漬けて乳酸発酵 → 天日干しという工程で作られます。発酵を促すには厚手で繊維質のしっかりした葉が向き、気温が高い盛夏は乳酸菌が働きやすい。だからこそ“夏に育て、夏に摘む”のです。

  • 漬け込み期間の目安:おおむね2週間前後〜3週間程度(家や桶によって差があります)。

  • 乾燥:桶出し後は天日干し。台風や夕立を避ける天候読みも重要な“腕”のひとつです。


地域の気候と地形:山の暮らしが育てる茶

主な産地は、徳島県上勝町・那賀町・美波町などの山間部。標高数百メートルの斜面畑で、家ごとに自給中心の小さな単位で受け継がれてきました。山の気候(昼夜の寒暖、夏の高温)と作業環境が、**“夏摘み・発酵”**という個性を支えています。


作り手のカレンダー(目安)

  • 4〜6月:芽吹き。摘まないで育てる(草刈りや畑の手入れ)。

  • 6月下旬〜8月上旬茶摘み本番(ピークは7月)。手摘み後、その日のうちに茹で・茶摺り・漬け込みまで行う家が多い。

  • 発酵(約2〜3週間):木桶で乳酸発酵。

  • 晴天日に天日干し:仕上げの選別へ。

取材記では、7月中旬に上勝町で茶摘み〜漬け込みまでの工程を行い、後日「桶出し→干し→選別」と進める例が紹介されています。盛夏の作業であることがよくわかります。


収穫の“見極めポイント”——現場の目安

  • 葉の厚み・硬さ:薄い若葉は香味は良くても発酵に不向き。厚みとコシが出る夏葉が本命。

  • 天候:漬け込み期は高温が望ましく、乾燥期は晴天が欲しい。作柄は気象の影響を強く受けます

  • 畑の位置:山間部では日当たりや標高差で時期がずれるため、同じ町内でも摘み始めが前後します。


もう一歩深く:阿波晩茶の“いま”

  • **文化財指定(2021年)**で、技術の継承と記録が進み、全国的な注目が上がりました。

  • 海外の発酵茶紹介でも、盛夏に手摘み→桶で乳酸発酵→天日干しという希少な製法が“日本の後発酵茶”として語られています


まとめ:阿波晩茶は「夏を摘む茶」

  • 育成期間春に芽吹かせ、夏まで育てる(春は摘まない)。

  • 茶摘み時期6月下旬〜8月上旬が中心、ピークは7月。厚手の葉を手摘みで収穫。

  • 理由厚葉×高温が、桶の中での乳酸発酵を助け、独特の酸味と香りを生む。

“春に摘まない勇気”と“夏に働く発酵の力”。この二つが重なって、阿波晩茶の季節は出来上がります。次の夏、産地の空気を想像しながら一杯いれてみてください。盛夏の山の匂いと、静かな旨みが、湯気の向こうからやってきます。

 

 

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ご予約分、出荷始まりました!

 

 

 

 

 

 

 

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こんにちは。Kamikatsu-TeaMateの百野です。

皆様お待たせいたしております。

ようやく2025年のお茶の入荷ももぼちぼち入っていきおります。

ただいまゴミ等のより分け、選別作業をして梱包しております。

ご予約いただきましたお客様、先着順ではありますが、順次発送を開始させていただきます。もうしばらくお待ちください。

なお、今回、多数のご注文を頂いておりますため個別での発送確認のメールはご容赦ください。

 

未来に繋ぐ阿波晩茶~episode18~

皆さんこんにちは!

Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!

 

さて今日は

未来に繋ぐ阿波晩茶〜episode18〜

 

 

阿波晩茶は、やさしい酸味やわらかな旨み、渋み控えめが特長。毎日のごはんやおやつに**“するり”と合うお茶です。ここでは、家庭で再現しやすい淹れ方の定番**と、料理アレンジ/ペアリング/保存をまとめました。


1|まずは定番の“煮出し”から

家族用ポット(1L)の目安

  • 茶葉:10–12g

  • 水:1000ml

  • 沸騰→弱めの火で3–5分

  • 火を止めて2–3分おいてから茶こしで移す
    → 角のない酸味と香ばしさ。冷ましても味が崩れにくいのが阿波晩茶の良さ。

急須で手軽に(1杯)

  • 茶葉:2–3g/湯:150–200ml90–95℃60–90秒
    → さっぱりと、食事中にも。


2|夏は“水出し・氷出し”で

  • 水出し(1L):茶葉10–12g常温→冷蔵4–6時間。苦渋み少なめ、甘酸っぱくすっきり。

  • 氷出し(急須):氷たっぷり+茶葉6–8g溶けた分だけ注ぐ。まろやかな旨みが際立つ“ご褒美の一杯”。


3|食卓ペアリングの定番

  • 揚げ物・焼き魚:脂をさっぱり流し、後味を整える。

  • 発酵食品(味噌・漬物・チーズ少量):乳酸同士が相性◎。

  • 柑橘や酢の物:酸味の“層”が重なって心地よい。

  • おやつ:甘味控えめの焼き菓子、素朴な和菓子と。


4|簡単アレンジレシピ

4-1 茶飯(2合)

  1. 阿波晩茶300mlをやや濃いめに煮出す。

  2. 研いだ米2合に煮出し茶+通常の水量まで足し、塩ひとつまみ。

  3. 炊き上がりに白ごま・刻み青ねぎ。→ おにぎりにしても最高。

4-2 阿波晩茶お茶漬け

  • 残りごはん+煮出し阿波晩茶。焼き鮭・漬物・刻み海苔でさっと。夜食にも重くない

4-3 阿波晩茶ピクルス(ノンオイル)

  • 煮出し茶200ml+塩小さじ1/2+はちみつ小さじ1+レモン薄切り少々。

  • 好みの野菜を漬けて冷蔵2–3時間酸味まろやかな“和ピクルス”。

4-4 阿波晩茶スカッシュ(夏限定)

  • 濃いめに冷やした阿波晩茶100ml+炭酸水150ml+柑橘ひとかけ。無糖で爽快


5|よくあるQ&A

Q. なんで酸っぱいの?
A. 茹で・揉みのあと樽で乳酸発酵させるから。お酢の酸っぱさとは違う、角のない酸味が特徴です。

Q. カフェインは?
A. 夏の大きな葉を使うため比較的おだやか。ただしゼロではありません。就寝前は控えめに。

Q. 何煎まで飲める?
A. 急須なら2~3煎。煮出しは一回ごとがおすすめ。

Q. どれくらい保つ?
A. 未開封で冷暗所なら長めに。開封後は早めに(目安1~2か月)使い切り、湿気と光を避けてください。


6|保存と扱いのコツ

  • 遮光・低湿・涼所が大原則。

  • 開封後は小分けにして、使う分だけを台所に。

  • 長期保管は未開封を冷凍→常温に戻してから開封(結露対策)。


7|阿波晩茶の“ものがたり”を楽しむ

樽詰めの日、家族総出で葉を押し、重石をそっと載せる手の重み。樽明けの日、ふわっと立ちのぼる乳酸の香り。阿波晩茶は“つくった人の暮らし”ごと味わうお茶です。季節のたよりと一緒に、食卓でゆっくりお楽しみください。


阿波晩茶は、強すぎない酸味とやさしい旨みで、毎日のごはんに寄り添うお茶。煮出し・水出しを基本に、茶飯やお茶漬けなど台所の道具として気軽に使ってみてください。

 

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未来に繋ぐ阿波晩茶~episode17~

皆さんこんにちは!

Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!

 

さて今日は

未来に繋ぐ阿波晩茶〜episode17〜

 

阿波晩茶は、煎茶や番茶とちがい、乳酸発酵で仕上げる“後発酵茶”。夏の大きな葉を茹でて・揉んで・樽で寝かせて・天日で干す——素材と季節と微生物の共同作業です。ここでは、農園の一年をたどりながら、失敗しない発酵と乾燥の勘どころをまとめます。


1|冬(12–2月):土づくりと来季の骨格づくり

  • 剪定・整枝:翌夏に均一な葉を得るため、畝ごとに高さ基準を決めて更新。

  • 施肥(基肥):前年の収量・葉色・土壌pH/ECを見て設計。

  • 排水・風対策:豪雨溝の通水確認、強風対策の補修。

  • 発酵道具の整備:木樽/ポリ樽・重石・竹簀(たけす)・干し場を点検。樽は湯洗い→乾燥→通風保管が基本。


2|春(3–5月):芽吹きの観察と被覆の見極め

  • 芽勢チェック:畝ごとに芽数・葉厚を見て、夏葉の質を予測。

  • 草生管理:通風と作業性を両立する高さで刈り込み。

  • 病害虫の初期対応:ハマキ・ハダニは畝端と日当たり端から見つけるのがコツ。


3|初夏〜盛夏(6–8月):収穫と“樽入れ”が主戦場

3-1 収穫(刈り取り)

  • 狙うのは“夏葉”:厚みのある大きな葉を中心に。雨直後は水を含み過ぎるため一呼吸置きます。

  • 受け入れ記録:畝・日付・天気・葉齢をロット化(後の味の振り返りに効く)。

3-2 前処理(茹で・揉み)

  1. 大釜で茹でる:葉がやわらかく色が鮮やかに変わるまで。

  2. 水切り→揉捻(じゅうねん):余分な水を切り、葉脈をほぐして菌の足場を作る。

    • 揉み不足=発酵が入りづらい/揉み過ぎ=粉が出やすい。中庸を狙う。

3-3 樽詰め(嫌気発酵)

  • ぎゅうぎゅうに詰める→布→重石空気を抜くのが最重要。

  • 期間:ふつう数週間。香りが乳酸系に変わり、色が落ち着いてきたら“樽明け”の合図。

  • 管理

    • 清潔:樽・布・重石は湯洗い・天日が鉄則。

    • 温度:高すぎは“においだち”が荒く、低すぎは鈍る。納屋の通風で整える。

    • 記録:pH/匂い/色を日誌に。pHは緩やかに下がっていくのが良い傾向。


4|晩夏〜初秋(8–9月):天日乾燥と仕上げ

  • 樽明け→ほぐし:塊をやさしく解き、竹簀に薄く広げる

  • 天日干しからりと晴れた日を待つ。夕立・夜露は大敵なので取り込み動線を先に段取り。

  • 乾きの見極め折ると“パリッ”と音、手触りが軽く、香りが酸×枯れ葉のバランスに。

  • 選別・袋詰:茎や極端な欠片を弾き、ロットごとに封緘。遮光・低湿で保管。


5|秋(10–11月):合組と検品

  • 合組(ブレンド):畝や樽の違いを合わせ、味の“柱”を通す。

  • 官能検査:湯気の香り(立ち香)・口当たり(酸の輪郭)・後口のきれ(渋の余韻)を見て、ロットノートに記録。


6|発酵を外さないための“現場の心得”

  • 嫌気を崩さない:樽詰め直後の空気の道を作らない(押し直しOK)。

  • 水切りを侮らない:過多な水分は“においの重さ”に直結。

  • 清潔第一:樽と布は年次で総点検。においの移りを避ける。

  • 天候待ちの勇気:乾燥は太陽>機械。晴天を狙うほうが結局うまくいく。


7|KPIとトレーサビリティ(簡易フォーマット)

  • 収穫日/畝/天気/葉齢

  • 茹で時間/揉み強度メモ

  • 樽番号/詰日/pH推移/樽明け日

  • 乾燥日数/水分の目安(手感覚+重量)

  • 試飲ノート(酸・旨・渋・香)
    → ロットごとの“勝ち筋”が見え、翌年の微調整が早くなります。


8|よくあるつまずきと処方箋

  • 香りが重い → 水切り不足/樽の締めが甘い。次回は揉み後の滞留短縮詰め直しを徹底。

  • 酸が尖る → 発酵温度が高すぎ/期間オーバー。風通し樽場所を見直す。

  • 粉っぽい → 揉みすぎ/乾燥の伸ばし不足。厚みを均一に干す。


阿波晩茶づくりは、畑の段取り×樽の嫌気×太陽の時間。一年の仕事をリズムに乗せ、清潔・記録・天候待ちの三点で外さない。これがうちの答えです。

(見学や体験の受け入れは時期限定。樽入れ期・樽明け期に合わせてご案内します。)

 

 

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未来に繋ぐ阿波晩茶~episode16~

皆さんこんにちは!

Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!

 

さて今日は

未来に繋ぐ阿波晩茶〜episode16〜

 

 

徳島県の山間部、上勝町や那賀町などで育まれてきた「阿波晩茶」。独自の乳酸発酵による製法を守る農家たちは、単なる茶葉の生産者にとどまらず、地域経済を支える重要な存在となっています。阿波晩茶農家が果たす経済的な役割について、産業・観光・地域再生の観点から深く考察します。


1. 地場産業としての阿波晩茶

阿波晩茶は、一般的な日本茶と異なる後発酵製法によって作られ、独特の酸味と芳香が特徴です。このユニークな茶は希少性が高く、市場価格も比較的安定しています。多くの農家にとって、年に一度の収穫と製茶による収入は貴重な現金収入源であり、特に高齢農家にとっては生活を支える柱のひとつです。

また、原材料は地域内で賄われるため、加工・販売も地元で完結しやすく、地域内での経済循環が生まれやすい構造になっています。


2. ブランド化と販路拡大による付加価値の創出

阿波晩茶は、伝統食品でありながら近年は「発酵」や「機能性飲料」といった観点から、健康志向の都市部消費者や海外バイヤーの注目も集めています。これにより、従来の地元市場だけでなく、百貨店・通販・輸出といった新たな販路が開拓され、価格競争に陥ることなく、高付加価値な産品として成長しています。

このブランディングの成果により、従来は茶として出荷できなかった等級の茶葉も副産物や加工食品として商品化されるなど、農家の収益構造の多様化が進んでいます。


3. 雇用の創出と多世代連携

阿波晩茶の生産工程は手作業が多く、特に収穫・発酵・乾燥の期間には一時的な労働力が必要となります。そのため、季節雇用やアルバイトの形で地元住民や移住者、高校生・大学生の就労機会が生まれています。

また、加工や販売、体験イベントの運営には若手移住者や地域おこし協力隊が関与しており、阿波晩茶は多世代が関われる「地域産業」としての機能を果たしています。


4. 観光・体験経済との融合

阿波晩茶の伝統的製法や自然豊かな茶畑は、体験型観光資源としても高い価値を持ちます。収穫や製茶体験を目当てに訪れる観光客は、宿泊、飲食、物販といった地域経済全体への波及効果をもたらします。

このように、農業と観光が連携することで、「モノづくり」から「コトづくり」へと経済的価値が広がっているのです。


5. 持続可能な地域経済のモデルとして

阿波晩茶農家の取り組みは、小規模でも高付加価値を追求し、地域資源を最大限に活かすモデルです。大量生産ではなく、地場の文化と自然を活かした「小さくても強い経済」の象徴ともいえます。

阿波晩茶を通じて、地域の自然資源、労働力、知恵が有機的に結びつき、都市への一極集中に対抗する地域内自立型経済の可能性が広がっています。


おわりに

阿波晩茶農家は、単なるお茶の生産者ではありません。彼らは地域の文化を守り、雇用を生み、観光を育て、地域経済を支える「多機能型農業者」としての役割を果たしています。

阿波晩茶の未来を支えるのは、その土地に根差し、季節のリズムとともに働く人々の手です。そしてその営みこそが、持続可能で豊かな地域経済の礎となるのです。

 

 

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未来に繋ぐ阿波晩茶~episode15~

皆さんこんにちは!

Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!

 

さて今日は

未来に繋ぐ阿波晩茶〜episode15〜

 

 

阿波晩茶は、徳島県の山間部で古くから伝わる「後発酵茶」です。夏に収穫した硬めの茶葉を蒸して揉み、樽で乳酸発酵させた後、天日干しにするという独特の製法でつくられます。その味は酸味がありながらまろやかで、近年は健康志向の高まりとともに全国的にも注目される存在になってきました。

しかしこの阿波晩茶、その伝統を支えてきた茶畑が今、転機を迎えています。


茶畑が抱える課題

阿波晩茶に使われる茶葉は、一般的な緑茶のように柔らかく若い葉ではなく、夏に刈り取る成葉が主役です。収穫時期は短く、年間を通じた管理も必要なため、高齢化と後継者不足の影響を受けやすい作物の一つです。

結果として、放棄される茶畑が増え、かつて地域を支えていた「生活の畑」が荒れ地となっていくケースが相次いでいます。


再利用の動きが生んだ新しい価値

こうした背景の中で、阿波晩茶の農家や地域住民が取り組んでいるのが「茶畑の再利用」です。単に再び茶を作るというだけでなく、その土地を活かしながら、地域資源としての茶畑を多面的に活用するという視点が加わっています。

1. 自然との共生を生かした有機栽培

放棄地を整備し直すことで、農薬を使わず自然栽培に取り組む農家が増えています。山間の気候と土壌が無理なく活かせる茶畑は、環境負荷の少ない循環型農業のモデルにもなりつつあります。

2. 体験型観光資源への転換

夏の収穫期に合わせ、茶摘みや発酵作業を体験できる観光プログラムを実施する農家も出てきています。都市部からの訪問者が地域文化に触れ、地元の人々と交流することで、茶畑は新たな「出会いの場」としても再定義されているのです。

3. 教育・福祉との連携

地域の学校や福祉施設と連携し、茶畑を教材や作業体験の場として活用する動きも見られます。自然の中で体を動かし、五感を使って学ぶという貴重な機会は、子どもたちや高齢者の健康や心にも良い影響を与えています。


再利用がもたらす地域再生の芽

茶畑の再利用は、単に土地の問題を解決するだけでなく、「人と自然」「文化と経済」の再接続をもたらします。

・若者や移住者が関わるきっかけに
・地元の誇りや伝統文化の再認識
・阿波晩茶のブランド力と販路の広がり

茶畑は今や、静かに息を吹き返しながら、地域再生の希望の象徴になりつつあるのです。


阿波晩茶の茶畑に残るのは、ただの農地ではありません。そこには何世代にもわたり受け継がれてきた暮らしの知恵、自然への敬意、そして人の手で育まれてきた地域文化が息づいています。

その茶畑を未来につなぐための「再利用」は、農業の新しい可能性を示すと同時に、地域に根ざした暮らしの再生を静かに後押ししています。

 

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未来に繋ぐ阿波晩茶~episode14~

皆さんこんにちは!

Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!

 

さて今日は

未来に繋ぐ阿波晩茶〜episode14〜

ということで、茶畑の香りが持つ意味、農家にとっての精神的価値、そして暮らしへの影響について、静かに深く掘り下げます。

 

お茶の味や色は語られても、「香り」に焦点を当てた話は意外に少ないかもしれません。しかし、お茶農家にとって最も五感に訴えるのは、茶畑を吹き抜ける風の香りかもしれません。それは単なる植物の匂いではなく、季節・時間・生命の営みを内包した“香りの風景”なのです。


1. 「香る畑」という特別な風景

お茶の葉は、揮発性香気成分(テアニン、メチル化合物など)を多く含んでいます。とくに新芽の出る春先、朝露とともに茶畑を歩くと、青くて甘く、そしてどこか清々しい香りが鼻を満たします。

  • 朝日が差し込む瞬間、しっとりと立ち上がる“若葉の香”

  • 摘み取り直前の新芽から漂う“緑の密”のような香気

これらは、天気・風・葉の状態によって毎日異なり、まさに「一期一会の香り」として農家の心を包み込みます。


2. 香りから感じる“生きものとしての茶”

農家は、香りから茶葉の状態を直感的に読み取ります。

  • 「今日はちょっと湿気が強くて葉が重いな」

  • 「この畝の品種は、雨上がりが特に芳しい」

経験を積んだ農家ほど、視覚よりも嗅覚で変化を感じ取ると言われます。香りこそが、茶の“生きている証”なのです。


3. 心を整える“癒しの空間”としての茶畑

茶畑の香りは、農作業の合間にふっと心を和らげてくれる存在です。朝露の時間帯、摘採のあとの夕暮れ時、ふとした瞬間に漂う香りが、自然と一体になっている感覚をもたらします。

  • 季節の変化に敏感になれる

  • 無心になって作業に没頭できる

  • 心が乱れていても、香りに触れるとスッと整う

香りは、お茶農家にとっての“天然のセラピー”なのです。


4. 茶の香りを「文化」にする

この茶畑の香りを、単なる「農業の副産物」ではなく、暮らしの中の価値として位置づけ直す動きも出ています。

  • 茶葉を焙煎する香りを活かした観光農園や茶室体験

  • フレグランス商品やアロマオイルへの応用

  • 精神衛生に効果がある“緑茶香気療法”の研究

香りは、日本文化の“感性”としての茶業を象徴する要素としても期待されています。


茶畑の香りは、風の中に溶け込んだ自然からのメッセージであり、農家が日々受け取る“見えないご褒美”です。それは、働く人の心を癒し、文化としての誇りを呼び覚まし、やがて消費者の食卓へと香りごと届けられます。

お茶は、味だけではなく、「香り」をもって人の心に寄り添うもの。ぜひ、次にお茶を飲むときには、その香りに、育った畑の風景と農家の想いを重ねてみてください。

 

 

 

 

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未来に繋ぐ阿波晩茶~episode13~

皆さんこんにちは!

Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!

 

さて今日は

未来に繋ぐ阿波晩茶〜episode13〜

ということで、お茶農家を取り巻く課題と、その根底にある社会構造の変化を掘り下げながら、今後の可能性についても展望します。

 

日本のお茶文化は千年以上の歴史を持ち、精神性や暮らしと深く結びついてきました。しかし現代社会の変化の中で、お茶農家は多くの試練に直面しています。


1. 高齢化と後継者不足の深刻化

多くの茶農家では、現在も70代以上の高齢者が中心となって茶園を維持しています。次世代への事業継承が困難で、「継ぐ人がいない」という声が全国の産地で聞かれています。

  • 若年層にとって農業は「収益が見えづらく魅力に乏しい」産業と見られがち

  • 都市部への人口流出と農村部の過疎化により、地域全体の担い手が減少

結果として、放棄茶園の増加や、ブランドの維持が困難になる地域も出てきています。


2. 国内消費の減少と“お茶離れ”

かつては家庭で急須を使ってお茶を淹れる習慣がありましたが、今ではペットボトル茶が主流となり、急須文化は大きく後退しています。

  • 若者世代を中心に「お茶=健康的だが地味」とされる傾向

  • インスタント飲料やコーヒー、エナジードリンクへの嗜好移行

これにより、高品質な一番茶や手摘み茶の需要が減り、手間をかけた製品ほど売れにくいという矛盾が生じています。


3. 気候変動と生産リスクの増大

温暖化や気象の不安定さは、繊細な新芽を育てるお茶農家にとって致命的な影響を与えます。

  • 霜による芽の焼けや、異常高温による収量低下

  • 長雨や湿度の上昇による病害虫の増加

こうした自然リスクが、品質安定と生産コストの両立を難しくしており、経営を圧迫しています。


4. グローバル化と価格競争の波

海外の安価なお茶との価格競争も激しくなっており、日本国内の茶葉はコスト面で不利です。

  • 大量生産される外国産の緑茶や抹茶粉末が安価で流通

  • 「価格では勝てない」という現実が、経営の圧力に

その中でも差別化を図るため、高級品路線・機能性表示・輸出戦略などが模索されていますが、体力のある農家に限られる場合も少なくありません。


5. 地域社会と文化の希薄化

お茶の収穫や製茶作業は、かつては地域の季節行事やコミュニティ活動の一部でもありました。今では機械化や家族経営の縮小により、地域の連帯感や文化的価値の継承も薄れています。

「お茶を飲む」こと自体が、日常から遠ざかり、特別なものになってしまったのです。


未来を拓くためにできること

お茶農家にとって最大の課題は、「農業としての収益性の確保」「文化価値の伝承」の両立です。

  • 若手就農支援や体験型ツーリズムによる担い手確保

  • 地産地消・直販モデルによる利益構造の再構築

  • 海外市場向けに抹茶や健康機能性を打ち出した戦略

  • 茶のある暮らしを再び広める文化発信

これらの取り組みが、次世代へと茶業を引き継ぐ希望の芽となるでしょう。

 

 

 

 

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