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未来に繋ぐ阿波晩茶~episode14~

皆さんこんにちは!

Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!

 

さて今日は

未来に繋ぐ阿波晩茶〜episode14〜

ということで、茶畑の香りが持つ意味、農家にとっての精神的価値、そして暮らしへの影響について、静かに深く掘り下げます。

 

お茶の味や色は語られても、「香り」に焦点を当てた話は意外に少ないかもしれません。しかし、お茶農家にとって最も五感に訴えるのは、茶畑を吹き抜ける風の香りかもしれません。それは単なる植物の匂いではなく、季節・時間・生命の営みを内包した“香りの風景”なのです。


1. 「香る畑」という特別な風景

お茶の葉は、揮発性香気成分(テアニン、メチル化合物など)を多く含んでいます。とくに新芽の出る春先、朝露とともに茶畑を歩くと、青くて甘く、そしてどこか清々しい香りが鼻を満たします。

  • 朝日が差し込む瞬間、しっとりと立ち上がる“若葉の香”

  • 摘み取り直前の新芽から漂う“緑の密”のような香気

これらは、天気・風・葉の状態によって毎日異なり、まさに「一期一会の香り」として農家の心を包み込みます。


2. 香りから感じる“生きものとしての茶”

農家は、香りから茶葉の状態を直感的に読み取ります。

  • 「今日はちょっと湿気が強くて葉が重いな」

  • 「この畝の品種は、雨上がりが特に芳しい」

経験を積んだ農家ほど、視覚よりも嗅覚で変化を感じ取ると言われます。香りこそが、茶の“生きている証”なのです。


3. 心を整える“癒しの空間”としての茶畑

茶畑の香りは、農作業の合間にふっと心を和らげてくれる存在です。朝露の時間帯、摘採のあとの夕暮れ時、ふとした瞬間に漂う香りが、自然と一体になっている感覚をもたらします。

  • 季節の変化に敏感になれる

  • 無心になって作業に没頭できる

  • 心が乱れていても、香りに触れるとスッと整う

香りは、お茶農家にとっての“天然のセラピー”なのです。


4. 茶の香りを「文化」にする

この茶畑の香りを、単なる「農業の副産物」ではなく、暮らしの中の価値として位置づけ直す動きも出ています。

  • 茶葉を焙煎する香りを活かした観光農園や茶室体験

  • フレグランス商品やアロマオイルへの応用

  • 精神衛生に効果がある“緑茶香気療法”の研究

香りは、日本文化の“感性”としての茶業を象徴する要素としても期待されています。


茶畑の香りは、風の中に溶け込んだ自然からのメッセージであり、農家が日々受け取る“見えないご褒美”です。それは、働く人の心を癒し、文化としての誇りを呼び覚まし、やがて消費者の食卓へと香りごと届けられます。

お茶は、味だけではなく、「香り」をもって人の心に寄り添うもの。ぜひ、次にお茶を飲むときには、その香りに、育った畑の風景と農家の想いを重ねてみてください。

 

 

 

 

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未来に繋ぐ阿波晩茶~episode13~

皆さんこんにちは!

Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!

 

さて今日は

未来に繋ぐ阿波晩茶〜episode13〜

ということで、お茶農家を取り巻く課題と、その根底にある社会構造の変化を掘り下げながら、今後の可能性についても展望します。

 

日本のお茶文化は千年以上の歴史を持ち、精神性や暮らしと深く結びついてきました。しかし現代社会の変化の中で、お茶農家は多くの試練に直面しています。


1. 高齢化と後継者不足の深刻化

多くの茶農家では、現在も70代以上の高齢者が中心となって茶園を維持しています。次世代への事業継承が困難で、「継ぐ人がいない」という声が全国の産地で聞かれています。

  • 若年層にとって農業は「収益が見えづらく魅力に乏しい」産業と見られがち

  • 都市部への人口流出と農村部の過疎化により、地域全体の担い手が減少

結果として、放棄茶園の増加や、ブランドの維持が困難になる地域も出てきています。


2. 国内消費の減少と“お茶離れ”

かつては家庭で急須を使ってお茶を淹れる習慣がありましたが、今ではペットボトル茶が主流となり、急須文化は大きく後退しています。

  • 若者世代を中心に「お茶=健康的だが地味」とされる傾向

  • インスタント飲料やコーヒー、エナジードリンクへの嗜好移行

これにより、高品質な一番茶や手摘み茶の需要が減り、手間をかけた製品ほど売れにくいという矛盾が生じています。


3. 気候変動と生産リスクの増大

温暖化や気象の不安定さは、繊細な新芽を育てるお茶農家にとって致命的な影響を与えます。

  • 霜による芽の焼けや、異常高温による収量低下

  • 長雨や湿度の上昇による病害虫の増加

こうした自然リスクが、品質安定と生産コストの両立を難しくしており、経営を圧迫しています。


4. グローバル化と価格競争の波

海外の安価なお茶との価格競争も激しくなっており、日本国内の茶葉はコスト面で不利です。

  • 大量生産される外国産の緑茶や抹茶粉末が安価で流通

  • 「価格では勝てない」という現実が、経営の圧力に

その中でも差別化を図るため、高級品路線・機能性表示・輸出戦略などが模索されていますが、体力のある農家に限られる場合も少なくありません。


5. 地域社会と文化の希薄化

お茶の収穫や製茶作業は、かつては地域の季節行事やコミュニティ活動の一部でもありました。今では機械化や家族経営の縮小により、地域の連帯感や文化的価値の継承も薄れています。

「お茶を飲む」こと自体が、日常から遠ざかり、特別なものになってしまったのです。


未来を拓くためにできること

お茶農家にとって最大の課題は、「農業としての収益性の確保」「文化価値の伝承」の両立です。

  • 若手就農支援や体験型ツーリズムによる担い手確保

  • 地産地消・直販モデルによる利益構造の再構築

  • 海外市場向けに抹茶や健康機能性を打ち出した戦略

  • 茶のある暮らしを再び広める文化発信

これらの取り組みが、次世代へと茶業を引き継ぐ希望の芽となるでしょう。

 

 

 

 

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2025年度産の上勝晩茶の予約注文は終了とメール送信のご連絡。

この度は上勝阿波晩茶の2025年製造分のご予約ありがとうございました。

今回のTV放送によりたくさんの方々に上勝晩茶を知っていただけ、また多数のご注文のご連絡を頂き大変嬉しく思います。

残念ながら、生産量の加減からこのメールをもちまして予約の受付を終了させていただきます。

また、既にメールでご予約、お問い合わせいただきましたお客様。返信が遅れていますこと大変申し訳ございません。自動返信のメールが届いておりましたら、一旦こちらにはメールが届いております。ご予約の方も受付させていただくのでご安心ください。

順次メールお返事させていただきますのでしばらくお待ちいただけますようよろしくお願い致します。

 

 

2025年度産 予約受付再開します!

おはようございます。

2025年度産の上勝晩茶の予約受付、再開致します。

ご連絡いただいておりましたお客様大変ご迷惑をお掛け致しました。

ただ一点、ご注文の際に~500gまでを1点を上限でお願いします。

 

2025年度産新茶予約。一旦終了致します。

こんにちは。Kamikatsu-TeaMateの百野です。

TV放送から、注文が殺到し、この2,3日急遽今年夏製造分のご予約を承って降りましたが、総数量等が把握しきれなくなくらいのご予約、お問い合わせをいただきまして誠にありがとうございます。

一旦、頂いたメールへの返信や注文量などの確認のため一時受付をストップ致します。

大変ご迷惑をおかけいたしますがご理解の程よろしくお願い致します。

 

Kamikatsu-TeaMate 百野大地

 

 

 

ご注文のみなさまへ

Kamikatsu-TeaMateの百野です。

無事、横浜で行われたイベントから上勝に戻ってきました。

先日放映されました、オートファジー関連のTV放映の影響でご注文が殺到しております。私どもとしましては嬉しい悲鳴ではございますが、ご注文の皆様には連絡がつきにくくなり大変ご迷惑をおかけしております。

上勝番茶は夏場7月から町内で製造されるため現在在庫薄となっております。

急遽ですが、今年製造分のご予約を承りますので、もしよろしければご検討いただければ幸いです。

ご注文の方法はお問い合わせフォームより承せていただきます。

ご希望の商品とお支払い方法を記載の上ご送信ください。

担当者から折り返しご連絡差し上げます。

※HP内記載の電話番号は担当者が対応に追われているためつながりにくくなっております。お急ぎの方はお問い合わせフォームからお願いいたします。

 

 

 

未来に繋ぐ阿波晩茶~地域復興へ向けて2~

皆さんこんにちは!

Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!

 

さて今日は

未来に繋ぐ阿波晩茶〜地域復興へ向けて2〜

ということで、現在、上勝町で行っている地域復興へ向けた取り組みについてご紹介いたします♪

 

徳島県上勝町。山間の静かな集落で代々受け継がれてきた“在来茶”の文化が、今、新たな岐路に立っています。
高齢化や後継者不足の中、ある茶農家は「次の世代」にこの文化と山をつなげるために、暮らし・体験・創造をキーワードにした新しい取り組みを始めています。


1. 茶畑に「人を呼ぶ」:田舎暮らしと就農体験

上勝町では、単なる農業研修ではなく、“暮らしとともに茶を知る”体験型プログラムを導入しています。

■ 取り組みの特徴

  • 茶摘みや製茶だけでなく、地域の山仕事・暮らしの知恵も一緒に学ぶ

  • 空き家を活用した短期滞在型の就農体験で、生活のリアルを体感

  • 地元住民と「食卓を囲む」時間を設け、地域に根ざした関係を築く

→ 都市から来た若者にとって、「農業=労働」ではなく「生き方の選択肢」として捉え直す機会に。

■ 成果と課題

  • 実際に移住・就農につながった若者も誕生

  • 一方で、収入確保や販路の整備が今後の大きな課題

→ 体験は入り口、“継続可能な暮らし”をどうデザインするかが鍵


2. 晩茶以外の茶ノ木活用:持続可能性と多様化の模索

上勝町では、古くから晩茶(発酵させた夏摘みの伝統茶)が作られてきましたが、それだけでは経営的にも文化的にも限界が見えています。
そこで、新たな活用法として以下のような試みが進んでいます。


■ 和紅茶の製造

  • 在来の茶葉を発酵させて作る日本産の紅茶

  • 海外品にないやさしい渋みと香り、土壌の風味(テロワール)が特徴

  • スイーツとの相性も良く、観光土産・ギフト用途に展開

→ 海外紅茶との差別化が可能で、高付加価値化に貢献


■ 茶の実油の搾油

  • 晩秋に茶の木に実る「茶実」から油を抽出

  • オレイン酸が豊富で、抗酸化性に優れたヘルシーオイル

  • スキンケアや食用オイルとしての展開も視野に

→ 茶葉を摘まない時期の収入源としても期待大


3. 地域に根ざした持続的モデルの構築へ

■ 複業型茶農家という選択

  • 茶生産×カフェ運営×民泊×製品開発など、複数の柱を組み合わせた農業

  • 茶を起点に「食」「観光」「体験」を結ぶ事業へ拡張可能

■ 地元住民との共創

  • 茶づくりのノウハウは、地域の高齢者が最も熟知している

  • 若者とベテランの「共働」により、文化継承と技術革新を両立

→ 地域ぐるみの“共同経営”ともいえるスタイルが今、注目されています。


茶畑は、暮らしの延長線にある“未来”

上勝町のお茶農家が模索するのは、「昔ながらのやり方」を残すことではなく、“どうすれば、この文化が100年後にも山に息づいているか”という問いへの答えです。

暮らしを体験し、茶の多様性を知り、地域と関わる。
その積み重ねこそが、未来につながる新しい茶業の形です。

 

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未来に繋ぐ阿波晩茶~課題2~

皆さんこんにちは!

Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!

 

さて今日は

未来に繋ぐ阿波晩茶〜課題2〜

ということで、現在、上勝町で抱えている課題について深く考えていきたいと思います。

 

 

徳島県上勝町。日本一の葉っぱビジネス「いろどり」で知られるこの町には、もう一つの宝物があります――実生(みしょう)の在来茶です。
人工的に品種改良された茶ではなく、種から育ち、地域の自然と共に生きたこの茶は、一つとして同じものがない、唯一無二の風味を持ちます。

しかし今、そのお茶畑(といっても山の斜面)が危機的な状況にあるのです。


1. 傾斜地に広がる「自然生え」の茶ノ木たち

上勝町の在来茶は、標高の高い山間地の斜面に多く自生しています。これらは「在来種」と呼ばれる、江戸時代以前からその地に根付いた品種であり、人の手で挿し木されたものではなく、種から育った実生の茶木です。

■ 魅力と苦労は紙一重

  • 【魅力】風味に個性があり、深み・甘み・香りすべてが唯一無二

  • 【苦労】斜面の急勾配、機械が使えない地形

→ 収穫はすべて手摘み。一歩間違えば滑落するような傾斜での作業は、高齢の農家にとって非常に厳しいのが現実です。


2. 耕作放棄と荒れる山―失われゆく茶園の記憶

近年の後継者不足により、お茶畑の管理が難しくなり、放置される茶園が増加しています。
耕作放棄された斜面は、次第に雑木が生い茂り、イノシシなどの動物のすみかとなり、生態系の変化や土砂災害のリスクも高まります。

■ 問題の連鎖

  1. 傾斜地ゆえ機械化できない → 作業負担が高い

  2. 高齢化・後継ぎ不在 → 作業が続けられない

  3. 放棄 → 山が荒れ、害獣・災害・文化の喪失へ

→ これは単なる農業の衰退ではなく、「地域の風土と文化の消滅」を意味します。


3. それでも「続けたい」と思わせる在来茶の価値

  • 世界に一つだけの風味 → テロワール(地勢・気候・文化)を映す味

  • 発酵・焙煎による多様な製品化 → 紅茶、和紅茶、ほうじ茶などへ展開可能

  • サステナブルな農業資源 → 無農薬・自然栽培がしやすい環境

→ 上勝の在来茶は、“量”ではなく“価値”で勝負できる、高付加価値型の地域資源です。


4. 解決への鍵:共に担う「文化の農業」

  • 若者や移住者を巻き込んだ体験型農業ツーリズム

  • 在来茶を使ったクラフトティー・クラフトジン・スキンケア商品などへの6次産業化

  • 山の手入れが「災害対策」と「景観保全」につながる

“美味しい”だけではなく、“意味のある作物”として発信することで、地域の未来を変える可能性があります。


一葉に、山の物語がある

上勝町の実生在来茶は、ただの茶葉ではありません。そこには、人と自然と歴史が育んだ土地の記憶があります。
この茶を守ることは、上勝町の山を守ること。そして日本の農村文化を、未来に手渡すことでもあります。

 

 

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未来に繋ぐ阿波晩茶~地域復興へ向けて~

皆さんこんにちは!

Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!

 

さて今日は

未来に繋ぐ阿波晩茶〜地域復興へ向けて〜

ということで、現在、上勝町で行っている地域復興へ向けた取り組みについてご紹介いたします♪

 

徳島県・上勝町。四国山中に抱かれた、この町の宝は、豊かな自然と、そして何よりも「阿波晩茶(あわばんちゃ)」です。けれど今、その晩茶文化が存続の危機に立たされています――高齢化、後継者不足、収益性の低さ。しかし、それでもこの町はあきらめない。茶とともに生きる道を、自分たちの手で切り開こうとしています


◆ 晩茶と共に生きてきた上勝の暮らし

阿波晩茶は、上勝町だけで古くから受け継がれてきた、世界でも稀な乳酸発酵のお茶です。夏の炎天下、茶葉を摘んで、釜で煮て、樽に漬けて発酵させる。それを天日干しにして完成。すべてが手作業です。

かつては、どの家でも「自分の家の晩茶」を仕込むのが当たり前でした。味も香りも家庭ごとに違い、「うちは酸っぱめ」「あそこの家はまろやか」と、地元の人の会話にも必ず登場する存在。晩茶は、単なる飲み物ではなく、暮らしそのものでした。

けれど時代は流れ、晩茶をつくる家庭は年々減少。2025年現在、生産農家は15軒以下にまで減ってしまいました。


◆ 危機から生まれた「地域再生」の火種

このままでは晩茶が途絶えてしまう・・・。

そんな危機感を抱いた農家たちが集まり、立ち上げたのが「上勝阿波晩茶協会」です。2009年の設立以来、晩茶の魅力発信、販路拡大、後継者支援などに取り組んできました。

しかし、それだけでは足りない。「文化を守る」から「暮らしをつくる」へ。最近では、阿波晩茶を軸とした地域再生の取り組みが本格的に動き始めています。


◆ 晩茶からはじまる地域再生プロジェクト

◉ 1. 「おてつたび」などのプロジェクトとの協力

上勝町では今年、都市部からの若者を受け入れる「おてつたび」制度を活用し、晩茶農家と若手活動家との交流を企画しています♪

https://otetsutabi.com/plans/10661


◉ 2. 晩茶を観光資源へ

阿波晩茶は、訪れた人の心をつかみます。その独特の風味と、発酵のプロセスが“面白い”と評判。これを活かし、町では「晩茶体験ツアー」を展開中です。

  • 茶摘み体験(夏季限定)

  • 発酵樽のかき混ぜ体験

  • 自家製晩茶の飲み比べ

  • 晩茶を使った料理の試食

これらを組み合わせたプログラムが、国内外の観光客を惹きつけています。


◉ 3. 晩茶ブランドの再構築

「上勝晩茶」というブランドでの統一化が進められ、パッケージデザインの刷新や、オンライン販売も強化中。2023年には、アメリカやシンガポールへの輸出もスタートしました。

健康志向の高まりもあり、「発酵茶」「腸活」などのキーワードと結びつけることで、新しい市場開拓にも成功しつつあります。


◉ 4. 【味の箱舟】登録

2020年、阿波晩茶は食の世界遺産と呼ばれる【味の箱舟】に登録され、マスメディアにも掲載されました。

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【味の箱船】は、地域の自然や生活と深く結びつき、将来的に消滅のおそれがある小規模生産の食材を世界各地でカタログ化するプロジェクト。スローフード協会(本部・イタリア)が20年以上展開し、世界各地の5千以上の希少食材が登録されている。同年8月末、阿波晩茶は「伊勢いも」(三重県)など八つの食材とともに、日本では2年ぶりに認定された。


◆ 晩茶の未来は、上勝の未来

上勝町で晩茶をつくるということは、「昔のままの暮らしを続ける」ということではありません。

それは、小さな伝統を未来へつなぐための、挑戦と工夫の連続です。

町の高齢者も、移住した若者も、地元の子どもたちも、「上勝に晩茶がある未来」を信じて動いています。

晩茶が発酵する時間は、ゆっくりと、でも確かに進みます。それと同じように、この町の復興も一歩ずつ、一人ずつの手で進んでいます。

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未来に繋ぐ阿波晩茶~課題~

皆さんこんにちは!

Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!

 

さて今日は

未来に繋ぐ阿波晩茶〜課題〜

ということで、現在、上勝町で抱えている課題について深く考えていきたいと思います。

 

上勝町(徳島県)は、四国山地の中腹に位置する自然豊かな町で、「ゼロ・ウェイスト宣言」などの環境への取り組みで国内外に知られています。しかし、その美しい風景とは裏腹に、深刻な過疎化と高齢化の波に直面しており、特に地域の基幹産業であるお茶農業にも大きな影響を与えています。

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◆ 上勝町の人口動態と高齢化の現状

2025年現在、上勝町の人口はわずか1,300人ほど。そのうち高齢者(65歳以上)の割合は約53%と、全国平均(約29%)を大きく上回っています。若年層の流出が続いており、町内に定住する働き手が極端に不足しているのが現状です。


◆ お茶農家の人手不足の実態

上勝町のお茶産業は古くから続く伝統産業で、山間の段々畑で丁寧に手摘みされる「阿波晩茶(あわばんちゃ)」が特に有名です。しかし現在、その伝統を支える担い手が急速に減少しています。

◉ 主な課題

  1. 高齢農家の増加
     茶農家の多くは70代以上で、体力的に厳しい作業を継続するのが困難になってきています。

  2. 後継者不足
     地元の若者は都市部に移住する傾向が強く、農業に興味を持つ人材が町内外でも極めて少ないのが現状です。

  3. 収穫期の労働力確保の困難
     お茶の収穫は一斉に集中するため、短期間に多くの人手が必要になりますが、その人手が確保できず、収穫をあきらめる農家も出てきています。

 

◆ 晩茶生産の現状と減少の実態

◉ 生産農家の高齢化

上勝町で晩茶を生産している農家は、2020年代には約30軒程度でしたが、現在(2025年)では20軒を下回るとも言われています。しかも、その多くが70代から80代の高齢者であり、作業の継続が年々難しくなってきています。

晩茶の製造工程は非常に手間がかかるため、若く体力のある労働力が必要ですが、以下の理由から若手の参入が難しいのが現実です:

  • 夏の猛暑期に行われる重労働(茶摘み、釜茹で、発酵作業)

  • 熟練が必要な伝統的製法

  • 収益性の低さ(市場がニッチで、大量生産が難しい)

◉ 生産量の減少

農林水産省や地元組合によると、阿波晩茶の生産量は2000年代前半に比べて半減しているとの報告もあります。主に以下の要因が関係しています:

  • 労働力不足による作付け面積の縮小

  • 発酵樽などの設備を管理・維持する体制の弱体化

  • 天候不順や高温化による品質への影響


◆ 高齢化のもたらす課題

高齢化がもたらす影響は、単なる生産量の減少にとどまりません。

課題 詳細
技術継承の危機 晩茶づくりには熟練した感覚と知識が不可欠。教える相手がいなければ技術が途絶える。
地域経済の縮小 晩茶は観光土産や特産品としても重要。生産減少により町の収入源も細る。
文化的価値の喪失 晩茶は単なる農産物ではなく、上勝町の「生活文化」。継承されなければ文化ごと失われる。

 

◆ 自家用茶としての晩茶文化

上勝町の晩茶づくりは、もともと各家庭で自家用として作る伝統から始まったものです。夏になると家族総出で茶葉を摘み、釜で茹で、漬け込み・発酵・天日干しまでを行うというのが上勝の暮らしの一部でした。

このように「商品」ではなく「生活の一部」として生まれ育った晩茶は、経済的利益よりも文化的・精神的価値に重きが置かれてきました。しかしそのことが現代においては、深刻な後継者不足の一因になっています。


◆ 商業化の壁:収益性の低さ

晩茶は手間暇のかかる製法であるにも関わらず、他の一般的なお茶と比べて生産量が限られ、流通量も少ないため、販売による収益は極めて限定的です。

◉ 主な要因

  1. 収穫が年に一度(夏のみ)

    • 他のお茶(春摘み茶など)と違い、年一回の収穫であるため、生産機会が少ない。

  2. 乳酸発酵という特殊製法

    • 生産工程が複雑で、量産には不向き。品質の均一化も難しい。

  3. 販路が限られている

    • 地元直売やふるさと納税、口コミ販売が中心で、大手市場には出回りにくい。

結果として、副収入や趣味としては成立しても、専業として生活を支えるのは困難という認識が根強くあります。


◆ 後継者が育たない背景

◉ 1. 収益面での魅力不足

若者が「この仕事で生きていける」という明確な収入モデルが存在しないため、他の仕事を選ばざるを得ない状況が続いています。特に家族を養う世代にとって、年に一度の収穫で得られる収入では生活が成り立たないという厳しい現実があります。

◉ 2. 技術の属人化

晩茶づくりは、各家庭ごとに異なる独自のレシピや工程があり、「教わる」というより「見て覚える」職人的な文化です。このため、体系的に学べる環境が整っておらず、技術継承が非常に困難になっています。

◉ 3. 地域の人口構成と教育機会の少なさ

上勝町の若年層人口は極端に少なく、地元の中学校卒業後は多くの子どもたちが町外の高校・大学に進学します。そのまま都市部に就職・定住するケースが大半で、UターンやIターンによる定着が極めて稀です。

阿波晩茶はオンラインでもご購入できます♪

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