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月別アーカイブ: 2025年7月

未来に繋ぐ阿波晩茶~episode16~

皆さんこんにちは!

Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!

 

さて今日は

未来に繋ぐ阿波晩茶〜episode16〜

 

 

徳島県の山間部、上勝町や那賀町などで育まれてきた「阿波晩茶」。独自の乳酸発酵による製法を守る農家たちは、単なる茶葉の生産者にとどまらず、地域経済を支える重要な存在となっています。阿波晩茶農家が果たす経済的な役割について、産業・観光・地域再生の観点から深く考察します。


1. 地場産業としての阿波晩茶

阿波晩茶は、一般的な日本茶と異なる後発酵製法によって作られ、独特の酸味と芳香が特徴です。このユニークな茶は希少性が高く、市場価格も比較的安定しています。多くの農家にとって、年に一度の収穫と製茶による収入は貴重な現金収入源であり、特に高齢農家にとっては生活を支える柱のひとつです。

また、原材料は地域内で賄われるため、加工・販売も地元で完結しやすく、地域内での経済循環が生まれやすい構造になっています。


2. ブランド化と販路拡大による付加価値の創出

阿波晩茶は、伝統食品でありながら近年は「発酵」や「機能性飲料」といった観点から、健康志向の都市部消費者や海外バイヤーの注目も集めています。これにより、従来の地元市場だけでなく、百貨店・通販・輸出といった新たな販路が開拓され、価格競争に陥ることなく、高付加価値な産品として成長しています。

このブランディングの成果により、従来は茶として出荷できなかった等級の茶葉も副産物や加工食品として商品化されるなど、農家の収益構造の多様化が進んでいます。


3. 雇用の創出と多世代連携

阿波晩茶の生産工程は手作業が多く、特に収穫・発酵・乾燥の期間には一時的な労働力が必要となります。そのため、季節雇用やアルバイトの形で地元住民や移住者、高校生・大学生の就労機会が生まれています。

また、加工や販売、体験イベントの運営には若手移住者や地域おこし協力隊が関与しており、阿波晩茶は多世代が関われる「地域産業」としての機能を果たしています。


4. 観光・体験経済との融合

阿波晩茶の伝統的製法や自然豊かな茶畑は、体験型観光資源としても高い価値を持ちます。収穫や製茶体験を目当てに訪れる観光客は、宿泊、飲食、物販といった地域経済全体への波及効果をもたらします。

このように、農業と観光が連携することで、「モノづくり」から「コトづくり」へと経済的価値が広がっているのです。


5. 持続可能な地域経済のモデルとして

阿波晩茶農家の取り組みは、小規模でも高付加価値を追求し、地域資源を最大限に活かすモデルです。大量生産ではなく、地場の文化と自然を活かした「小さくても強い経済」の象徴ともいえます。

阿波晩茶を通じて、地域の自然資源、労働力、知恵が有機的に結びつき、都市への一極集中に対抗する地域内自立型経済の可能性が広がっています。


おわりに

阿波晩茶農家は、単なるお茶の生産者ではありません。彼らは地域の文化を守り、雇用を生み、観光を育て、地域経済を支える「多機能型農業者」としての役割を果たしています。

阿波晩茶の未来を支えるのは、その土地に根差し、季節のリズムとともに働く人々の手です。そしてその営みこそが、持続可能で豊かな地域経済の礎となるのです。

 

 

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未来に繋ぐ阿波晩茶~episode15~

皆さんこんにちは!

Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!

 

さて今日は

未来に繋ぐ阿波晩茶〜episode15〜

 

 

阿波晩茶は、徳島県の山間部で古くから伝わる「後発酵茶」です。夏に収穫した硬めの茶葉を蒸して揉み、樽で乳酸発酵させた後、天日干しにするという独特の製法でつくられます。その味は酸味がありながらまろやかで、近年は健康志向の高まりとともに全国的にも注目される存在になってきました。

しかしこの阿波晩茶、その伝統を支えてきた茶畑が今、転機を迎えています。


茶畑が抱える課題

阿波晩茶に使われる茶葉は、一般的な緑茶のように柔らかく若い葉ではなく、夏に刈り取る成葉が主役です。収穫時期は短く、年間を通じた管理も必要なため、高齢化と後継者不足の影響を受けやすい作物の一つです。

結果として、放棄される茶畑が増え、かつて地域を支えていた「生活の畑」が荒れ地となっていくケースが相次いでいます。


再利用の動きが生んだ新しい価値

こうした背景の中で、阿波晩茶の農家や地域住民が取り組んでいるのが「茶畑の再利用」です。単に再び茶を作るというだけでなく、その土地を活かしながら、地域資源としての茶畑を多面的に活用するという視点が加わっています。

1. 自然との共生を生かした有機栽培

放棄地を整備し直すことで、農薬を使わず自然栽培に取り組む農家が増えています。山間の気候と土壌が無理なく活かせる茶畑は、環境負荷の少ない循環型農業のモデルにもなりつつあります。

2. 体験型観光資源への転換

夏の収穫期に合わせ、茶摘みや発酵作業を体験できる観光プログラムを実施する農家も出てきています。都市部からの訪問者が地域文化に触れ、地元の人々と交流することで、茶畑は新たな「出会いの場」としても再定義されているのです。

3. 教育・福祉との連携

地域の学校や福祉施設と連携し、茶畑を教材や作業体験の場として活用する動きも見られます。自然の中で体を動かし、五感を使って学ぶという貴重な機会は、子どもたちや高齢者の健康や心にも良い影響を与えています。


再利用がもたらす地域再生の芽

茶畑の再利用は、単に土地の問題を解決するだけでなく、「人と自然」「文化と経済」の再接続をもたらします。

・若者や移住者が関わるきっかけに
・地元の誇りや伝統文化の再認識
・阿波晩茶のブランド力と販路の広がり

茶畑は今や、静かに息を吹き返しながら、地域再生の希望の象徴になりつつあるのです。


阿波晩茶の茶畑に残るのは、ただの農地ではありません。そこには何世代にもわたり受け継がれてきた暮らしの知恵、自然への敬意、そして人の手で育まれてきた地域文化が息づいています。

その茶畑を未来につなぐための「再利用」は、農業の新しい可能性を示すと同時に、地域に根ざした暮らしの再生を静かに後押ししています。

 

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