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月別アーカイブ: 2025年5月

未来に繋ぐ阿波晩茶~地域復興へ向けて2~

皆さんこんにちは!

Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!

 

さて今日は

未来に繋ぐ阿波晩茶〜地域復興へ向けて2〜

ということで、現在、上勝町で行っている地域復興へ向けた取り組みについてご紹介いたします♪

 

徳島県上勝町。山間の静かな集落で代々受け継がれてきた“在来茶”の文化が、今、新たな岐路に立っています。
高齢化や後継者不足の中、ある茶農家は「次の世代」にこの文化と山をつなげるために、暮らし・体験・創造をキーワードにした新しい取り組みを始めています。


1. 茶畑に「人を呼ぶ」:田舎暮らしと就農体験

上勝町では、単なる農業研修ではなく、“暮らしとともに茶を知る”体験型プログラムを導入しています。

■ 取り組みの特徴

  • 茶摘みや製茶だけでなく、地域の山仕事・暮らしの知恵も一緒に学ぶ

  • 空き家を活用した短期滞在型の就農体験で、生活のリアルを体感

  • 地元住民と「食卓を囲む」時間を設け、地域に根ざした関係を築く

→ 都市から来た若者にとって、「農業=労働」ではなく「生き方の選択肢」として捉え直す機会に。

■ 成果と課題

  • 実際に移住・就農につながった若者も誕生

  • 一方で、収入確保や販路の整備が今後の大きな課題

→ 体験は入り口、“継続可能な暮らし”をどうデザインするかが鍵


2. 晩茶以外の茶ノ木活用:持続可能性と多様化の模索

上勝町では、古くから晩茶(発酵させた夏摘みの伝統茶)が作られてきましたが、それだけでは経営的にも文化的にも限界が見えています。
そこで、新たな活用法として以下のような試みが進んでいます。


■ 和紅茶の製造

  • 在来の茶葉を発酵させて作る日本産の紅茶

  • 海外品にないやさしい渋みと香り、土壌の風味(テロワール)が特徴

  • スイーツとの相性も良く、観光土産・ギフト用途に展開

→ 海外紅茶との差別化が可能で、高付加価値化に貢献


■ 茶の実油の搾油

  • 晩秋に茶の木に実る「茶実」から油を抽出

  • オレイン酸が豊富で、抗酸化性に優れたヘルシーオイル

  • スキンケアや食用オイルとしての展開も視野に

→ 茶葉を摘まない時期の収入源としても期待大


3. 地域に根ざした持続的モデルの構築へ

■ 複業型茶農家という選択

  • 茶生産×カフェ運営×民泊×製品開発など、複数の柱を組み合わせた農業

  • 茶を起点に「食」「観光」「体験」を結ぶ事業へ拡張可能

■ 地元住民との共創

  • 茶づくりのノウハウは、地域の高齢者が最も熟知している

  • 若者とベテランの「共働」により、文化継承と技術革新を両立

→ 地域ぐるみの“共同経営”ともいえるスタイルが今、注目されています。


茶畑は、暮らしの延長線にある“未来”

上勝町のお茶農家が模索するのは、「昔ながらのやり方」を残すことではなく、“どうすれば、この文化が100年後にも山に息づいているか”という問いへの答えです。

暮らしを体験し、茶の多様性を知り、地域と関わる。
その積み重ねこそが、未来につながる新しい茶業の形です。

 

阿波晩茶はオンラインでもご購入できます♪

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未来に繋ぐ阿波晩茶~課題2~

皆さんこんにちは!

Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!

 

さて今日は

未来に繋ぐ阿波晩茶〜課題2〜

ということで、現在、上勝町で抱えている課題について深く考えていきたいと思います。

 

 

徳島県上勝町。日本一の葉っぱビジネス「いろどり」で知られるこの町には、もう一つの宝物があります――実生(みしょう)の在来茶です。
人工的に品種改良された茶ではなく、種から育ち、地域の自然と共に生きたこの茶は、一つとして同じものがない、唯一無二の風味を持ちます。

しかし今、そのお茶畑(といっても山の斜面)が危機的な状況にあるのです。


1. 傾斜地に広がる「自然生え」の茶ノ木たち

上勝町の在来茶は、標高の高い山間地の斜面に多く自生しています。これらは「在来種」と呼ばれる、江戸時代以前からその地に根付いた品種であり、人の手で挿し木されたものではなく、種から育った実生の茶木です。

■ 魅力と苦労は紙一重

  • 【魅力】風味に個性があり、深み・甘み・香りすべてが唯一無二

  • 【苦労】斜面の急勾配、機械が使えない地形

→ 収穫はすべて手摘み。一歩間違えば滑落するような傾斜での作業は、高齢の農家にとって非常に厳しいのが現実です。


2. 耕作放棄と荒れる山―失われゆく茶園の記憶

近年の後継者不足により、お茶畑の管理が難しくなり、放置される茶園が増加しています。
耕作放棄された斜面は、次第に雑木が生い茂り、イノシシなどの動物のすみかとなり、生態系の変化や土砂災害のリスクも高まります。

■ 問題の連鎖

  1. 傾斜地ゆえ機械化できない → 作業負担が高い

  2. 高齢化・後継ぎ不在 → 作業が続けられない

  3. 放棄 → 山が荒れ、害獣・災害・文化の喪失へ

→ これは単なる農業の衰退ではなく、「地域の風土と文化の消滅」を意味します。


3. それでも「続けたい」と思わせる在来茶の価値

  • 世界に一つだけの風味 → テロワール(地勢・気候・文化)を映す味

  • 発酵・焙煎による多様な製品化 → 紅茶、和紅茶、ほうじ茶などへ展開可能

  • サステナブルな農業資源 → 無農薬・自然栽培がしやすい環境

→ 上勝の在来茶は、“量”ではなく“価値”で勝負できる、高付加価値型の地域資源です。


4. 解決への鍵:共に担う「文化の農業」

  • 若者や移住者を巻き込んだ体験型農業ツーリズム

  • 在来茶を使ったクラフトティー・クラフトジン・スキンケア商品などへの6次産業化

  • 山の手入れが「災害対策」と「景観保全」につながる

“美味しい”だけではなく、“意味のある作物”として発信することで、地域の未来を変える可能性があります。


一葉に、山の物語がある

上勝町の実生在来茶は、ただの茶葉ではありません。そこには、人と自然と歴史が育んだ土地の記憶があります。
この茶を守ることは、上勝町の山を守ること。そして日本の農村文化を、未来に手渡すことでもあります。

 

 

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