皆さんこんにちは!
Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!
さて今日は
未来に繋ぐ阿波晩茶〜episode23〜
伝統発酵茶・阿波晩茶の“今”
徳島県の山間部、特に上勝町や那賀町で古くから受け継がれてきた「阿波晩茶」。
日本でも数少ない**後発酵茶(乳酸発酵茶)**として、独自の風味と製法を誇るこのお茶は、かつては地域の人々にとって日常の飲み物であり、生活文化そのものであった。
しかし、時代の変化とともに、晩茶を飲む人・作る人が減少し、産地は縮小。
それでも近年になって、「発酵食品」「地域ブランド」「自然農法」などのキーワードとともに、
再び注目を集めるようになっている。
このブログでは、阿波晩茶農家が今どのようなニーズに直面しているのか、
生産・販売・継承・地域連携の観点から深く掘り下げる。
1. 阿波晩茶の基本と魅力
阿波晩茶は、夏の盛りに摘んだ茶葉を一度蒸し、その後に木桶などに詰めて自然発酵させることで作られる。
発酵には約2〜3週間、乳酸菌が主役となり、特有の酸味とまろやかさを生む。
苦味や渋みが少なく、体への負担も軽いことから、
かつては「子どもからお年寄りまで飲めるお茶」として親しまれていた。
この発酵プロセスは他の日本茶にはほとんど見られず、世界的に見ても珍しい。
それゆえ、国内外の研究機関から「希少な伝統発酵文化」としての関心も高まっている。
2. 現在のニーズ① ― 健康志向と発酵ブーム
現代の消費者は、「自然」「発酵」「腸内環境」といったキーワードに敏感である。
阿波晩茶の乳酸発酵による整腸作用・免疫サポートへの期待は高く、
健康意識の高い層や海外のオーガニック市場からの注目が広がっている。
特にSNSや通販では「腸活茶」「ナチュラルティー」として紹介されることが増え、
若年層・女性層の購買層が拡大中である。
しかし、生産者側にとっては「どこまで科学的根拠を示すか」「どう表現すれば誤解を生まないか」という課題もある。
これまでの“地域の日常茶”が、健康食品的な扱いへと変化する中で、
伝統と商業のバランスをどう取るかが求められている。
3. 現在のニーズ② ― 安定供給と品質統一
阿波晩茶は農家ごとに製法や環境が異なり、味・酸味・香りに個性がある。
それが魅力でもあるが、商業流通の観点から見ると「品質のばらつき」は課題となる。
近年、観光客やEC販売で新規顧客が増える中、
「前回買った味と違う」「酸味が強すぎる」などの声も少なくない。
農家間での技術共有・熟成管理の標準化、共同ブランドの確立が求められており、
各地域で組合や研究会を立ち上げる動きも進んでいる。
品質と個性の両立――。
そこに、これからの晩茶づくりの核心がある。
4. 現在のニーズ③ ― 担い手不足と継承問題
阿波晩茶の製造は、夏場の高温期に行う重労働であり、
発酵の工程管理も経験と勘が求められる。
後継者が減少し、高齢化が進む中で、
「伝統を守りたいが体力的に厳しい」という声が増えている。
また、晩茶作りは一軒単位の作業が多く、家族経営に頼る部分が大きい。
地域での協働加工・共同販売・若手研修制度の整備が急務となっている。
一方で、大学との共同研究や移住者による参入事例もあり、
“地域文化を仕事にしたい”という若者が少しずつ増えているのも希望の兆しだ。
5. まとめ
阿波晩茶は、単なる「お茶」ではない。
それは、土地の菌と人の手が織りなす、生きた文化資産である。
いま求められているのは、
「昔ながらを守ること」と「時代のニーズに応えること」の両立。
健康志向、ブランド化、後継者育成――。
これらを一つひとつ乗り越えながら、
阿波晩茶は“地域の誇り”として、次の世代へと受け継がれていくだろう。
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