ブログ

未来に繋ぐ阿波晩茶~課題2~

Share on Facebook
LINEで送る

皆さんこんにちは!

Kamikatsu-TeaMateの更新担当の中西です!

 

さて今日は

未来に繋ぐ阿波晩茶〜課題2〜

ということで、現在、上勝町で抱えている課題について深く考えていきたいと思います。

 

 

徳島県上勝町。日本一の葉っぱビジネス「いろどり」で知られるこの町には、もう一つの宝物があります――実生(みしょう)の在来茶です。
人工的に品種改良された茶ではなく、種から育ち、地域の自然と共に生きたこの茶は、一つとして同じものがない、唯一無二の風味を持ちます。

しかし今、そのお茶畑(といっても山の斜面)が危機的な状況にあるのです。


1. 傾斜地に広がる「自然生え」の茶ノ木たち

上勝町の在来茶は、標高の高い山間地の斜面に多く自生しています。これらは「在来種」と呼ばれる、江戸時代以前からその地に根付いた品種であり、人の手で挿し木されたものではなく、種から育った実生の茶木です。

■ 魅力と苦労は紙一重

  • 【魅力】風味に個性があり、深み・甘み・香りすべてが唯一無二

  • 【苦労】斜面の急勾配、機械が使えない地形

→ 収穫はすべて手摘み。一歩間違えば滑落するような傾斜での作業は、高齢の農家にとって非常に厳しいのが現実です。


2. 耕作放棄と荒れる山―失われゆく茶園の記憶

近年の後継者不足により、お茶畑の管理が難しくなり、放置される茶園が増加しています。
耕作放棄された斜面は、次第に雑木が生い茂り、イノシシなどの動物のすみかとなり、生態系の変化や土砂災害のリスクも高まります。

■ 問題の連鎖

  1. 傾斜地ゆえ機械化できない → 作業負担が高い

  2. 高齢化・後継ぎ不在 → 作業が続けられない

  3. 放棄 → 山が荒れ、害獣・災害・文化の喪失へ

→ これは単なる農業の衰退ではなく、「地域の風土と文化の消滅」を意味します。


3. それでも「続けたい」と思わせる在来茶の価値

  • 世界に一つだけの風味 → テロワール(地勢・気候・文化)を映す味

  • 発酵・焙煎による多様な製品化 → 紅茶、和紅茶、ほうじ茶などへ展開可能

  • サステナブルな農業資源 → 無農薬・自然栽培がしやすい環境

→ 上勝の在来茶は、“量”ではなく“価値”で勝負できる、高付加価値型の地域資源です。


4. 解決への鍵:共に担う「文化の農業」

  • 若者や移住者を巻き込んだ体験型農業ツーリズム

  • 在来茶を使ったクラフトティー・クラフトジン・スキンケア商品などへの6次産業化

  • 山の手入れが「災害対策」と「景観保全」につながる

“美味しい”だけではなく、“意味のある作物”として発信することで、地域の未来を変える可能性があります。


一葉に、山の物語がある

上勝町の実生在来茶は、ただの茶葉ではありません。そこには、人と自然と歴史が育んだ土地の記憶があります。
この茶を守ることは、上勝町の山を守ること。そして日本の農村文化を、未来に手渡すことでもあります。

 

 

阿波晩茶はオンラインでもご購入できます♪

オンラインショップ